魔法使いのピラミッド
魔法使いの老婆が暖めた卵から生まれた小びとが一晩のうちに作り上げたという伝説から、この名前を持つ。118段の階段で26mの高さがあり、実際には8〜11世紀の300年間をかけ、5期に分けられて建てられた。以前は登れたようだが現在はNG。
旅専用の動物的カンを駆使してウシュマルにアクセスする国道に入れた。“ほっ”。1時半にスタートして3時にウシュマル到着。遺跡のそばにはリゾート風のホテルがある。近くに町もないへんぴな場所だけれど、ここに泊まることもできるんだ。夕方5時で閉園してしまうせいか、観光客は数えるほどしかいない。日が傾き、暑さもゆるんでいて思いのままに歩き回れる。冬でも暑さの厳しいユカタンでは、真っ昼間の遺跡巡りは避けるのが鉄則だ。見物客が帰った時間、辺りにはいつからか密林に埋もれた日の静けさが漂っていた。

メキシコでは数々の遺跡を歩き、いくつものピラミッドを見たけれど、この魔法使いのピラミッドの斜面が一番急だと思う。アンコールワットやミャンマーのバガン、もちろんこの後のチチェンイツアーやテオティワカンなど、数々の遺跡の斜面に登ったけれど、ここは、登れるだろうけれど降りられる自信はない。