ピラミッド No.5
建物の装飾に、エルタヒンにしか見られない渦巻き状の雷模様が描かれている。これはピラミッド同様、雨季にこの地を襲うハリケーンや稲妻の猛威を祀ったものとされる。エルタヒンの建築物にはほとんど名称がなく、番号が付けられている。
エルタヒン遺跡の敷地には、現在も修復途中と分かる建築物や遺構が点在している。それがどこまで続くのか、奥が深い。驚かされるのは、こうして公開されている遺跡が、全体の1/10程度だということ。まだまだ数多くの建築物がジャングルに隠されているらしい。

どの地の遺跡にも言えることだけれど、遺跡を訪れて対面するピラミッドは、たいへん造形の美しい建築物として見ることができる。しかし、資料館に展示されている写真や、専門的な文献などに見られる発掘当時の様子は、これら建物の往時の有り様を想像しようもない、鬱蒼とした密林に埋もれた朽ちたがれきの丘でしかない。それをここまで修復するに至る労力は、とてつもなく大変なものだったに違いない。